2025年11月20日

【温泉の所有権とは?】土地の権利と源泉の区別をわかりやすく解説

■温泉の所有権とは何か
温泉の所有権とは、湧き出る温泉を誰が利用・管理できるかを定める権利のことです。一般的には、温泉が湧出している「土地の所有権」と深く関係していますが、必ずしも土地の所有者が温泉を自由に使えるわけではありません。温泉は地中から自然に湧き出る資源であり、日本では「温泉法」によって管理や利用のルールが決められています。

■温泉法の基本的な考え方
温泉法では、温泉を掘削して利用するためには都道府県知事の許可(温泉掘削許可)が必要とされています。つまり、土地を所有していても勝手に掘って温泉を引くことはできません。許可を受けた人が「温泉の利用権」を持つことになります。

■土地の所有と温泉の権利の違い
土地を持っていても、温泉の権利を持っているとは限りません。土地の下にある温泉は、地下資源として「独立した利用権」が存在するのです。そのため、土地の所有者と温泉の利用者が異なるケースも少なくありません。

■源泉所有権と利用権
源泉所有権:温泉を湧出させた源泉そのものの管理・維持の権利。
利用権(分湯権):源泉から引かれた温泉を使用する権利。旅館や施設がこの権利を契約で得て利用します。

■温泉トラブルと権利の明確化
温泉の所有権をめぐるトラブルは少なくありません。
たとえば、隣接地から無断で温泉を掘削されたり、共有の源泉からの引湯量をめぐって争いになることがあります。そのため、温泉事業では「源泉の所有者」「利用契約の範囲」「配湯量」などを明確に定めた契約書の作成が重要です。

■登記できない“見えない権利”
温泉の利用権は、土地のように登記簿に登録できない「無形の権利」です。そのため、法律上は民法の「債権契約」として扱われ、契約書による合意内容がすべての根拠になります。

■温泉の所有権を守るために
温泉は日本が誇る貴重な自然資源であり、正しい理解と管理が求められます。
土地の所有者であっても、掘削許可や利用契約を怠れば温泉の権利を失う可能性があります。逆に、適切な許可と契約を得ることで、温泉ビジネスや地域活性化にもつながる価値ある資産となります。

■まとめ
温泉の所有権とは、「土地の権利」+「掘削・利用の許可」+「契約による管理」で成り立つ複合的な権利です。
つまり、温泉を所有するとは、自然・法律・地域との調和の上に成り立つ責任ある権利なのです。
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