モール温泉は俗称であるため、泉質として定義することはできませんが、仮に指標となるものをあてはめると腐植質が考えられます。腐植質には 「試料水中の塩酸で沈殿する有機物を腐植質とする」(『鉱泉分析法指針』 環境省)という定義があります。この塩酸酸性(pH2未満)で沈殿する腐植質は、フミン酸と総称される有機物です(ちなみに沈殿しないものはフルボ酸と呼ばれています)。このフミン酸はとても興味深い物質で、その起源は植物、微生物、プランクトン等の生物遺骸です。これらは環境中で化学的または生物学的に分解・重合作用をうけて褐色系の高分子物質群、即ち腐植質となるわけですが、その起源や存在環境は多種多様である。