2025年12月16日

【海水は冷鉱泉(温泉)なのか?】意外と知らない“塩の湯”の正体を専門的に解説

■海水は温泉なのか?
「海水は温泉なの?」という疑問を持つ人は少なくありません。
結論から言うと、海水そのものは温泉には分類されません。しかし、条件によっては「冷鉱泉(れいこうせん)」として扱われることがあります。
温泉法では、「地中から湧き出し、温度が25℃以上、または一定の成分を含むもの」を温泉と定義しています。そのため、海水のように25℃未満でも、特定の成分を多く含めば“温泉の仲間”とみなされるのです。

■温泉法による定義
温泉法第2条では、以下の2つの条件のいずれかを満たすものを温泉としています。
①地中から湧出し、摂氏25℃以上であること。
②温度が25℃未満でも、ラドン・鉄・塩分など19種類の成分のうちいずれかが基準値以上含まれていること。

■冷鉱泉とは何か
冷鉱泉とは、温度が低くても温泉成分を豊富に含む泉水のことです。一般的な温泉のように熱くはありませんが、ミネラル分やガス成分が豊富で、健康や美容への効果が期待されます。

■海水との共通点
実は、海水もナトリウム(塩分)やマグネシウム、カルシウムなどのミネラルを多く含んでいます。そのため、成分的には温泉に近い特徴を持っています。ただし、海水は地中から湧出したものではなく、自然界に広く存在するため、法律上は温泉として扱われません。

■海水が「温泉」に分類される場合
一部の地域では、海岸近くの地下から湧き出る海水由来の温泉が存在します。これは、地層を通る過程でミネラル濃度が変化し、温泉法の成分基準を満たす場合に「温泉」として認められます。

■海水風呂との違い
一方、「海水風呂(タラソテラピー)」は、海から直接汲み上げた海水を使用した入浴法で、温泉法の対象外です。
しかし、体を浮かせる浮力効果やミネラル補給、美肌作用などがあり、温泉と同じようなリラクゼーション効果が得られるため、健康・美容の分野では注目されています。

■海水と温泉の関係を正しく理解する
海水は自然の塩水であり、温泉法の定義には該当しませんが、その成分は温泉と共通点が多く、健康効果も近いといえます。
一方、地中から湧き出し、海の成分を含んでいる泉は「塩化物泉」や「冷鉱泉」として正式に温泉に分類されます。
海の恵みと大地の恵みが交わる場所――それが“塩の湯”の本質なのです。
ページの先頭へ