■日本の入浴文化は蒸し風呂から始まった
日本の風呂文化は、湯船に浸かるスタイルが主流になる以前、蒸し風呂や川での禊（みそぎ）によって心身を清める習慣から始まりました。洞窟や岩場の自然空間を利用し、焚き火の熱と蒸気で身体を温める「ムロ」が、風呂の原型です。

■蒸し風呂はサウナの原点
「風呂」の語源とされる「ムロ」は、閉ざされた部屋を意味し、蒸気でじんわりと温まる空間でした。海藻を敷いた石風呂など、各地で独自の工夫が見られ、現代のサウナ文化にもつながります。

■仏教が広めた入浴の習慣
仏教の伝来により、入浴は「功徳」として重んじられ、寺院に「湯屋」が作られました。次第に庶民にも開放され、衛生と健康を保つ文化として広がっていきます。

■入浴は心身の浄化へ
僧侶の修行から日常の習慣へと変化し、入浴は単なる洗浄ではなく、心まで整える大切な行為として定着していきました。

■江戸時代に庶民の風呂文化が花開く
銭湯の普及により、入浴は日常の一部となり、社交や癒しの場として親しまれました。同時に温泉地も湯治場として発展し、多くの人々が健康回復のために訪れるようになります。

■現代でも息づく、心と体を癒す日本の風呂文化
現代の日本人にとって、風呂や温泉はリラックスの象徴です。家庭の浴室から温泉旅館、サウナ施設に至るまで、多様なスタイルで受け継がれています。

■入浴は日本人の暮らしに欠かせない文化
お湯に浸かり、一日の疲れを流す——この習慣は、古代の蒸し風呂や禊から続く「浄化」の文化に根差しています。温泉や風呂は、日本人の生活と精神を癒し続けてきた、かけがえのない文化遺産といえるでしょう。